JIS B 0090(光学製図規格)
JIS B 0090は、光学素子や光学システムの製図手法を規定した日本産業規格です。設計上や機能上の要求事項を図面に表記する方法を定めており、国際規格ISO 10110を基にしています。
なぜ必要?
光学部品は、機械部品と異なり「表面の品質」「材料の均質性」「波面精度」など特殊な要求があります。JIS B 0090は、これらを図面に明確に指示するための記号や書式を定義しています。
主な部と記号例
第2部:材料欠陥(応力複屈折)
材料内部の応力による複屈折を許容値で指定します。
記号例: 2/0.010 → 複屈折量 0.010 mm/m 以下
第5部:表面形状公差
表面の形状精度をPV値(ピーク・トゥ・バレー)で指定します。
記号例: 5/0.2 → 表面形状誤差 0.2 mm 以下
第7部:表面欠陥許容値
ISOではスクラッチ・ディグの代わりに数値で指定します。
記号例: 7/10-5 → 最大欠陥サイズ 10 μm、最大個数 5
第9部:表面処理・コーティング
コーティングの種類や性能を記号で指示します。
記号例: 9/AR@550nm → 550 nmで反射防止膜
第14部:波面形状公差
光学性能に直結する波面精度をλ単位で指定します。
記号例: 14/λ/10 → 波面誤差 λ/10 以下
ISO 10110との関係
JIS B 0090はISO 10110と整合性を持ち、第2~9、12、14、17部はISOと同等です。一方、第1、10、11部は日本独自の規定です。