熱レンズ効果(Thermal Lens Effect)
熱レンズ効果とは、レーザー光が物質に吸収されることで温度が上昇し、密度や屈折率が変化する現象です。この変化によって物質がレンズのように振る舞い、光の経路が変わります。
発生原理
- レーザー光が物質に入射すると、一部が吸収されて熱エネルギーに変換されます。
- 熱が拡散し、温度分布が生じます。温度が高い部分は密度が低くなり、屈折率も低下します。
- 屈折率分布が形成され、物質がレンズのように光を曲げます。
このようにして形成された「熱レンズ」は、物質の種類や形状、レーザーの波長や強度によって特性が異なります。
影響と対策
熱レンズ効果は、レーザー加工や光学測定においてビーム品質や焦点位置を変化させるため、精度低下の原因になります。対策としては以下があります。
- 吸収率の低い材料を選ぶ
- レーザー出力を適切に制御する
- 冷却機構を導入して温度上昇を抑える
高出力レーザーを扱う光学系では、熱レンズ効果の理解と管理が不可欠です。