入射角度依存性(Angle Dependence)
入射角度依存性とは、光学材料やデバイスの光学特性(反射率、透過率、屈折率、干渉色など)が、光の入射角度によって変化する現象のことです。これは、表面の層構造や膜厚、さらには偏光状態に強く関係しており、光学設計や製品性能に大きな影響を与えます。
なぜ角度で変わるのか?
光が斜めに入射すると、光路長や反射条件が変化します。特に多層膜やコーティングでは、フレネルの式により反射率が角度と偏光状態(S偏光・P偏光)で異なります。また、干渉膜では角度によって光路差が変わるため、色や透過率が変化します。これが入射角度依存性の基本的な原因です。
入射角度依存性の課題と制御
入射角度依存性は、光学デバイスの性能に大きな影響を与えます。特に、視野角による色変化や輝度変化は、製品の品質やユーザー体験に直結する重要な課題です。
- 液晶ディスプレイ(LCD):視野角によって色や輝度が変わる問題を解決するため、配向技術や補償フィルムを設計します。
- 太陽電池:広い角度から光を効率的に取り込むため、反射防止膜やテクスチャ構造を工夫します。
- 光学フィルター・ARコーティング:角度による色ズレや性能低下を抑えるため、膜設計を最適化します。
このように、入射角度依存性を理解し、精密に制御することは、光学製品の品質と信頼性を高めるために不可欠です。