レーザー耐力とは、レーザー光に対して損傷を起こさない能力のことです。
レーザー耐力を評価する方法
レーザー耐力を評価する方法には、国際的に標準化されたいくつかの手法があります。代表的なものは以下の通りです。
- 1-on-1方式:サンプルの1ヵ所に1回照射を行い、損傷の有無に関わらず場所を変えて試験を繰り返す。
- S-on-1方式:サンプルの1ヵ所に特定回数照射を行い、損傷を確認し移動する。
- N-on-1方式:サンプルの1ヵ所に損傷が生じるまで断続的に照射強度を上げ、照射毎に損傷の有無を確認する。
- R-on-1方式:サンプルの1ヵ所に連続的に同じ強度で照射し、時間経過とともに損傷が生じるかどうか観察する。
これらの手法では、パルスレーザー(一定間隔でパルス状に発振するレーザー)やCWレーザー(連続発振するレーザー)が用いられます。パルスレーザーでは、波長やパルス幅(パルスが持続する時間)、パルスエネルギー(一つのパルスが持つエネルギー)、パルス周波数(一秒間あたり何回パルスが発生するか)などが重要なパラメータです。CWレーザーでは、波長や出力(単位時間あたり放出されるエネルギー)などが重要なパラメータです。
これらの手法で得られる値は、レーザー誘起損傷閾値(LIDT)と呼ばれます。LIDTとは、サンプル表面上で発生した最小限度のエネルギーデンシティ(単位面積当たりのエネルギー)であり、J/cm2やW/cm2で表されます。LIDTは、サンプル表面上で最初に発生した微小な欠陥から始まる現象であり、その後拡大して可視化されます。LIDTは測定条件や試料特性によって異なります。