前回はライトパイプ端面光を均一化するメカニズムを解説しました。
今回は均一発光面を使った実例を示します。

ワークを矩形領域でで均一に照射したい、という目標がある場合、1つの解法として、
「必要サイズのライトパイプをワークに直付け」という手段があります。

(直付けとはいかないまでも、ギリギリに近づければなんとか…)
この構成で目標仕様を満たしているのであれば良いのですが、使用できる条件が限定的で使いにくいですね。
ワークと照明光学系との間に隙間を設けようと思います。
解決方法には「結像光学系」を間に挟むというシンプルな手段を用います。

この追加光学系が等倍結像系であれば、先に提案した直付けと同様の効果が得られます。
今度はワークと光学系との間に十分な空間があります。
②変化例
次は少し変則的な目標に対して実際に設計・シミュレーションしてみます。
目標を「□20mm x 40mm 矩形領域の均一照射」と設定します。

光源は λ:1070nm、ファイバーコア径:Φ200um、NA0.1のマルチモードファイバとします。
干渉性は無いものとします。
ワーキングディスタンス100mm以上、全長制限なし、とします。
ガラスはすべて合成石英です。

縦横サイズが□5x10mmのライトパイプにファイバ光を直接入射させて、4倍光学系を通し、
ワーク位置で均一照射領域□20x40mmを目指します。
最初から□20x40mmのライトパイプを用いない理由としては、パイプ径が太いと均一な分布を得るのに必要なパイプ長が冗長になるからです。
長いパイプを作るより光学系で4倍にしたほうが全体の負荷が小さいです。
下図は実際の設計例です ワーキングディスタンスは200mmでした。

ライトパイプは光線出射側で必要な均一度になるような長さが必要です。
4倍光学系には最低限の結像性能が必要です。
同じ目標で、縦横比が1:1のライトパイプしか入手できないケースを考えてみます。

縦横サイズ□5x5mmのライトパイプに対して縦方向を8倍、横方向を4倍にする縦横独立した結像系を連結させます。
縦だけ、横だけと90度の回転方向に対して独立した光学系を構築する場合はシリンドリカルレンズを用います。
下図は実際の設計例です ワーキングディスタンスは220mmでした。

いかがでしたか?
アレイレンズと似たメカニズムを持ちながら、レンズ構成はシンプルなライトパイプホモジナイザでした。