ライトパイプとはすべての面が研磨された細長いガラスです。
普通のレンズと違って曲面を持ちません。

四角形、六角形のものが多いです。
ライトパイプの入り口側から光を入れることで、出口側で均一な照度分布が得られるようになります。

内部で複数回反射させることで均一化される、なんとなく理解できる気がしますがもう少し詳しく見てみましょう。
①ライトパイプの原理とシミュレーション
何もない状態で空間的にガウシアン分布を持つ拡散光源を用意します。
あるZ位置でFWHM Φ4mmで照射しています。


このFWHM4.0mmのうち、片側2.0mmを反射させるようにミラーを追加します。

図の上側半分を照らす予定だった分布はミラーで反射して内側を照らします。

ミラーを追加する前後の分布を重ねてみました 緑が追加前、青が追加後です。

外側に伸びていた裾野を折りたたむことで、フラットトップに近づいたと感じませんか?
更に反対側にミラーを追加してみます。


上下方向で同様の現象が見られます。
上下左右すべてにミラーを設置するとどうなるでしょうか。
下図は上下左右に4枚のミラーを追加して照明解析中をしている3D図です。


ミラーの境界より外に光線は漏れないので分布はキレイな矩形になります。
矩形均一照射光学系と呼んでも良さそうですが、完全な均一光学系にはまだ足りないですね。
下図では、ミラーを置く前の分布図に対してミラー位置に線を描いています。

中央の分布は一度もミラーに当たっていません。
①と書かれた上下左右の分布は1回ミラーに当たって内側に入ります。
②と書かれた4隅の分布は2回反射して、内側に入ります。
中央以外のすべてのエリアは、折り紙のようにミラー線で折り曲げて重ねていきます。

不均一な分布を縦横のメッシュで切って中央に集めるメカニズムは、アレイレンズによるホモジナイザとよく似ています。
今回の例はシンプルにするため、上下方向1回(斜めは2回)の反射回数を示しました。
冒頭のイラストのように複数回反射しているときはどうでしょうか?


反射回数が多いと上図のように折り曲げ回数が増えます
アレイレンズホモジナイザで例えると分割数が多い状態です。
この線で一度切り離して、中央の一箇所に集めることで均一性が増します。
アレイレンズと異なる点として、必ずタテヨコで奇数x奇数の分割数になります。
一度も反射しない中央の分布が必ず存在するからです。
今回はミラーで反射させて説明をしましたが、研磨されたガラスに光線を入れて全反射させても同様の効果があります。
いかがでしたか? 次回はこのライトパイプを利用した実例を紹介します。