光の透過率(ひかりのとうかりつ、英語: Transmittance)とは、物質に入射した光が、その物質をどれだけ通り抜けることができるかを示す割合のことです。
光が物質に当たると、その光は主に以下の3つの現象を起こします。
- 透過(Transmission): 物質を通り抜ける光
- 反射(Reflection): 物質の表面ではじき返される光
- 吸収(Absorption)もしくは散乱: 物質の内部で熱などに変換されたり、不規則な方向に進路を変えたりして失われる光
これらの現象は、エネルギー保存の法則に基づいており、物質に入射した光のエネルギー(強さ)を100%とした場合、透過した光の割合(透過率)、反射した光の割合(反射率)、そして物質に吸収または散乱された光の割合(吸収率)の合計は常に100%になります。
これを式で表すと以下のようになります。
透過率(T)+反射率(R)+吸収率(A)=1 (または 100%)
透過率は、一般的に0から1までの値(またはパーセントで0%から100%)で表されます。1(100%)は光が全く減衰せずに全て通り抜けることを意味し、0(0%)は光が全く通り抜けないことを意味します。
透過率に影響する要素
光の透過率は、いくつかの要因によって変化します。
- 物質の種類: ガラス、プラスチック、水など、物質によって光の通りやすさが異なります。
- 物質の厚さ: 一般的に、物質が厚くなるほど光が吸収または散乱されやすくなり、透過率は低くなります。
- 光の波長: 光にはさまざまな色(波長)があり、物質によっては特定の波長の光だけをよく透過させたり、遮断したりすることがあります。
- 光の入射角度: 光が斜めに入射すると、透過率が変わることがあります。
- 屈折率の差: 光が異なる物質の境界面を通過する際、それぞれの屈折率の差が大きいほど、その境界面で光が反射する割合(反射率)が大きくなります。反射する光が増えれば、透過する光の量は減り、透過率は低下します。
透過率向上のための技術
光の透過率を最大限に高めるための技術としては、反射防止膜(ARコーティング)が代表的です。
- 反射防止膜(ARコーティング): ガラスなどの光学部品の表面に、光の反射を抑えるために作られた非常に薄い膜です。光の波としての性質(干渉)を利用し、反射光を打ち消し合うことで透過率を向上させます。メガネレンズやカメラレンズ、スマートフォンの画面など、広く活用されています。