PV値(Peak to Valley値)とは:光学表面精度の基礎
1. PV値の定義と意味
PV(peak to valley)値は、光学部品の表面精度を示す数値の一つで、測定された表面形状と理想形状との誤差において、最も高い点(Peak)と最も低い点(Valley)の差を表します。
PV値が小さいほど、その光学部品の表面精度が高く、設計された理想的な形状に近いことを意味します。一般に、PV値は波長(λ)を単位として表されます。例えば、PV λ/4という表記は、PeakとValleyの差が光源の波長の4分の1以下であることを示します。
2. PV値の限界と他の評価指標
しかし、PV値だけでは光学部品の表面精度を十分に評価することはできません。なぜなら、PV値は表面上の2点(最大と最小)だけで決まるため、表面全体の歪みや凹凸の平均的な分布を考慮していないからです。
RMS値とRa値
そこで、PV値以外にも、表面全体の平均的なばらつきを示す指標としてRMS(Root Mean Square)値やRa(算術平均粗さ)値などが用いられます。これらは、表面上の全ての点から基準面までの距離を統計的に処理した値です。
- RMS値:誤差の二乗平均の平方根。表面のばらつきを統計的に示し、光学系の性能(ストレール比など)との相関性が高いとされる。
- Ra値:算術平均粗さ。基準面からの高さの絶対値の平均。
これらの値を用いることで、表面上の歪みや凹凸がどれくらい散らばっているか、つまり全体的な表面品質をより詳細に評価することが可能になります。