テレセントリック(Telecentric)
テレセントリックとは、「望遠点に合わせた」という意味を持つ言葉で、光学系においては、主光線が光軸に平行になるように設計されたレンズのことを指します。望遠点とは、平行光線が集まる位置のことです。
テレセントリックなレンズ系は、像の歪みや収差を最小限に抑えることができ、特に高精度な測定や検査、リソグラフィ技術などで不可欠な技術となっています。
テレセントリック光学系の種類
テレセントリック光学系は、主光線が平行になる位置によって、以下の3種類に分けられます。
- 物体側テレセントリック:物体側の主光線が光軸に平行です。物体が動いても倍率変化がありません。
- 像側テレセントリック:像側の主光線が光軸に平行です。撮像素子の角度に対する感度を抑えられます。
- 双方テレセントリック:物体側と像側の両方の主光線が光軸に平行です。最も完全な形式とされます。
テレセントリック光学系のメリット
テレセントリック光学系は、主に以下の点で高精度な画像処理・測定に貢献します。
- 倍率変化がない(高精度測定):
物体がレンズから多少遠ざかったり近づいたりしても、倍率が変化しません。これにより、高精度な寸法測定や検査において、物体の位置のわずかなズレが測定誤差につながるのを防ぎます。 - 歪みが少ない(正確な形状):
画像全域において歪みが抑えられるため、物体の形が正確に画像化されます。 - 深度への感度が低い:
非テレセントリック系に見られる、物体の奥行き方向における画角の影響を抑えることができます。