臨界角（Critical Angle）
臨界角とは、光が屈折率の大きい媒質から小さい媒質に入射するときに、全反射が起こる最も小さな入射角のことです。全反射とは、光が屈折せずに境界面で100%反射する現象です。
スネルの法則と計算
臨界角を求めるには、光の屈折の基本法則であるスネルの法則（n₁ sin θ₁ = n₂ sin θ₂）を用います。
全反射が起こる境界の条件は、屈折角（θ₂）が90度になるときです。このとき、入射角（θ₁）が臨界角（θc）となり、以下の式で計算されます。
sin θc = n₂ / n₁
ここで、n₁は入射元の媒質の屈折率、n₂は進行先の媒質の屈折率です。
【計算例】 水中（n₁ ≒ 1.33）から空気中（n₂ ≒ 1.00）に光が入射する場合、臨界角は θc ≒ 48.8度となります。つまり、48.8度以上の入射角で光は水中で全反射し、空気中へは出ません。
全反射の応用
臨界角の条件で起こる全反射は、多くの光学技術に利用されています。
- 光ファイバー：コア（屈折率大）とクラッド（屈折率小）の境界面で光を全反射させ、長距離の情報伝送を実現します。
- 全反射プリズム：プリズム内部で光を全反射させることで、鏡のように効率よく光の方向を曲げるために使われます。
- ダイヤモンドの輝き：高い屈折率を持つダイヤモンドは、内部で光が全反射しやすいため（臨界角が小さいため）、美しい輝きを放ちます。
