リソグラフィとは、半導体製造においてウェハに回路パターンを描く工程のことです。この工程は、半導体の性能やコストに大きな影響を与えるため、常に技術革新が求められています
リソグラフィの基本原理
リソグラフィは、以下の3つのステップで構成されます。
- フォトレジストの塗布
ウェハの表面にフォトレジストと呼ばれる感光性物質を塗布します。フォトレジストは、光によって化学変化する性質を持ちます。フォトレジストには、露光した部分が溶けるポジ型と、露光した部分が硬化するネガ型があります。 - 露光
ウェハにマスクと呼ばれる回路パターンが付いた透明な板を重ねて、光を照射します。マスクを通過した光はフォトレジストに当たり、その部分だけが化学変化します。露光する光源は、波長が短いほど微細なパターンを描くことができます。 - 現像
ウェハに現像液を噴霧して、化学変化した部分だけを除去します。これでウェハ上に回路パターンが形成されます。この後、エッチングやドーピングなどの工程でウェハを加工していきます。
リソグラフィの最新動向
半導体製造では、「ムーアの法則」と呼ばれる指標があります。これは、「半導体チップ上に集積できる素子数は18~24か月ごとに2倍になる」という予測です。この予測通りに半導体技術が進歩するためには、リソグラフィも微細化や高精度化を追求しなければなりません。
現在主流となっているリソグラフィ技術は、「液浸式アーゴンフッ素(ArF)エキシマレーザー」です。これは波長193nmの紫外線レーザーで露光し、液浸式という方法で解像度を高めています。しかし、この技術では7nm以下の微細化が困難です。
そこで注目されている次世代技術が、「極端紫外線(EUV)リソグラフィ」です。これは波長13.5nmの極端紫外線で露光し、5nm以下の微細化も可能です。